「説明が伝わらない人」に共通するたった1つの盲点
説明とは実はとても高度なコミュニケーションです。
なぜなら、説明とは “自分の頭の中にある情報を、相手の頭の中にコピーする試み” だから。
これはまるで、
自分のスマホから相手のスマホへAirDropするイメージ に近いのですが、残念ながら人間同士はBluetooth接続よりずっと不安定です。
だからこそ「伝わる説明」には工夫が必要なのです。
説明は「聞く → 知る → 解釈する」の3段階で成立する
相手に伝わる説明は、必ずこの順番を通ります。
- 聞く
- 知る(意味を理解する)
- 解釈する(自分のものとして整理する)
じつは、一番厄介なのが ③の“解釈”。
例えばあなたが、
「ミスがあったから直しておいたよ」と伝えたとします。
そのとき相手の頭の中では、
- 「ありがとう!」
もしくは - 「うわ、怒られた…」
と 真逆の解釈 が同時に起こり得ます。
これはまるで、
ラーメン屋で「濃いめ」と注文したのに、店によっては「味が濃い」だったり「脂が多い」だったり解釈が全然違うのと同じ。
同じ言葉でも、お店=“人”によって意味が変わるのです。
二択で理解度を測ることはできない
説明したあとについ、
「わかった?」
と聞いてしまいがちですが、これは説明の最大の落とし穴。
人は「分かった or 分からない」の2択で答えがちです。
でも本当の理解度はそんな単純ではありません。
- 30%だけわかった
- 60%くらい理解できた
- 90%近く理解した
…と“グラデーション”があります。
つまり、
理解度を2択にするのは、ナンセンスである。絶対に正確なデータは返ってきません。
だからこそ、質問をこう変えましょう。
「今の説明、何%くらいわかった?」
この聞き方は、理解度の“解像度”を上げてくれます。
いい説明の3条件
良い説明には、次の3つが必ず揃っています。
- 伝わる情報量が多い
- 伝わる情報の質が高い
- 聞き手の負担が小さい
特に大事なのは ③聞き手の負担が小さいこと。
いくら素晴らしい説明でも、
聞き手が “読む気ゼロの状態” なら、どれだけ良い文章でもスルーされます。
これはまるで、
満腹の相手にどれだけ美味しい料理を出しても、食欲は湧かないのと同じ。
まずは“受け取れる状態”をつくることが大切なのです。
説明の極意は「おもてなし」
説明がうまい人は、実はプレゼン力より
“おもてなし力”が高い人 です。
おもてなし視点の説明とは、次の2つ。
① 相手を見る
- 表情
- 反応速度
- どこで詰まっているか
説明は一方通行ではありません。
相手の反応を見て説明を調整するのは、
料理人が食べる人のペースを見ながらコースの出し方を変える
のと同じです。
② 相手の目線で考える
説明というのは「自分が言いたい順番」ではなく、
「相手が知りたい順番」に並べてあげることが正解。
例えるなら、
旅行に行く前の友達に、いきなり“歴史の話”をするより、
まず“どこに泊まるか”“どんな写真が撮れるか”を伝えたほうがワクワクする
というあれと同じ。
相手の目線に立つだけで、説明の伝わり方は一気に変わります。
まとめ:説明とはスキルではなく「思いやり」
説明が上手い人は、話がうまい人ではありません。
相手の頭の中にコピーされることを本気で考えられる人です。
そのためには、
- 「わかった?」ではなく 「何%くらいわかった?」
- 相手の表情をみる
- 相手のペースに合わせる
- おもてなしの視点を持つ
この4つだけで、説明は驚くほど伝わるようになります。
参考本:分かった!と思わせる説明の技術/佐々木 真